時計の学習は、小学1年生から始まり、3年生で終結します。
低学年の児童にとって、かなり難しい単元であり、頭を抱えたことのある保護者の方も多くいるかと思います。
そんな時計の学習について説明します。
もくじ
1年生:なんじなんぷん
1年生の時計の学習では時刻を「読む」ことのみが求められます。
おしゃれなデジタル時計を飾っているお家もありますし、小学1年生にとってはアナログ時計は見慣れないものかもしれません。
では早速ですが、下の時計を児童はどのように読むでしょうか。
もちろん正解は「10じ」です。では、誤答は?
「10じ12ふん」
「12じ10ぷん」
「12じ50ふん」
などが出てくるかと思います。
このような誤答にならないためにどうすればよいのでしょうか?
つまづきポイント①長い針が示す「分」
時計は長い針が「△ふん」を表しますね。児童によっては「細い針」もしくは「細長い針」と言った方がわかりやすいかもしれません。
時計の数字(文字盤)は「□じ」しか書いてありません。
休み時間になると、「長い針が2になったら戻ってきてね。」と言う人もいます。できれば「長い針が2になったら、□じ10ぷんだから、戻ってきてね。」と少しでも時刻を意識させたいです。また、下のように
「△ふん」を表したものを紙で貼るのもいいです。
九九を習っていない1年生ですが、「ご、じゅう、じゅうご、にじゅう…」と5跳びや、逆5跳び「ごじゅうご、ごじゅう、よんじゅうご…」も言えるようにしておくと時刻の学習がスムーズに進みます。
余裕があるのなら、教える側が「4」と言ったら子どもが「20」と答えるなど、対応を答えられるようにしておきましょう。
また、細長い針が6のときは「□じはん」という言い方があることも抑える必要があります。
「△ふん」なのか「△ぷん」なのかは、正直のところ慣れです…。
つまづきポイント②短い針が示す「時」
児童によっては「太い針」もしくは「太くて短い針」と言った方がわかりやすいかもしれません。
「□じ」の読み方で躓きやすいのが下のようなときです。
「10じ25ふん」なのか「11じ25ふん」なのか児童は迷います。
「2つの数で迷ったら小さい方の数だよ。」と指導する人もいるかもしれませんが、
上のような場合、「12と1」の大きさで考えるのではなく12時を0時と考えなくてはいけないことに注意が必要です。
また、「左の数字を選ぶ」と言っても、時計の反対側では通用しなくなります。
また、下のような場合、
「11じ58ふん」と読んでしまう間違いも多くあります。「もうすぐ11じ」ということに気付かせる必要があります。
小学1年生にとって、生活の中に、意図的に時計を入れていくことや
算数セットに入っている小さな時計をグルグル回して遊ぶことなど、算数の生活化や遊びの中で感覚を養うことが大切です。
2年生:時こくと時間
時こくと時間の違い
まず、2年生では「時こく」と「時間」の違いについて学びます。
「時こく」とは「時の流れの、ある一瞬」であり、
「時間」とは「時の経過の長さ」です。
「起きた時間」は誤りですが、「起きていた時間」は正しいです。
つまづきポイント①前と後
「10時の1時間前」というと今の時点より戻ります。
しかし、「10kmの1km前」というと今の時点より先に進みます。
この大人にとっては当たり前なポイントが、児童にとっては大きなハードルと成りうるのです。
2年生では、「9時40分の30分前の時こくは?」、「9時40分の20分後の時こくは?」といったように、長い針が12を跨がない問題を扱います。
つまづきポイント②時間換算
1時間=60分 、 1日=24時間
というのも2年生で学習します。子どもにとって初めての単位換算であり、さらに60進法と24進法です。
1時間20分 = 120分
という間違いは多くあります。
「□時60分」は絶対にありえないということを抑える必要があります。
おまけ:正午の反対は??
そもそも正午の午って???
短い針が24時間で一周する時計に十二支を入れてみます。
丁度お昼の12時は「午(ウマ)」ですね。だから「正午」です。
真夜中の12時は「正子」といいます。読み方は「せいこ」ではなく「しょうし」です。2年生では扱いませんが…。
3年生:時こくと時間のもとめ方
いよいよ時計の学習の大詰めです。3年生で完結しますので、時計を用いたどんな問題も解けるようにしなければなりません。
「□分後」を考える問題の解き方は3通りあります。
では、実際に問題を解いてみましょう。
「8時50分の40分後は何時何分でしょう。」
解法①9時ぴったりを考える
9時ぴったりを考えてそこからさらにたす考えです。数直線で表すと、
上のようになります。
教科書には、この1つの解法しか記載されていません。しかも、数直線を用いて考えることを強制する場合、この解法しか出てこないという弊害があります。しかし、実際に大人であるみなさんはこれ以外の考えで答えを出している方も多くいると思います。
解法②長い針が一気に半周する
アナログ時計のメリットを生かした解法です。アナログ時計がなくても、頭の中で時計をイメージできる場合は、一番考えやすいと思います。
解法③1時間後から引く
「40分後」や「50分後」など、「60」に近い数ほど、この解法がやりやすいと思います。
みなさんは、どの解法で考えましたか?
教科書に載っている解法だけでなく、大人である私たちが日常で使っている解法(方法)は、子どもにとってわかりやすく、使いやすい解法(方法)であるはずです。