小学1年生のたし算について考えます。考え方の違いによって、ブロック操作の仕方も変わりますので注意が必要です。平成29年度告示算数科学習指導要領では、「加法が用いられる場面」として
「合併」、「増加」、「順序数を含む加法 」、「求大」、「異種のものの数量を含む加法」の5種類が挙げられています。さらにもう1種類のたし算もありますので、全6種類のたし算について紹介します。(このページの式は全てa:足される数、b:足す数、x:求めたい数で表記します。)
たし算を学習する系統性について知りたい方はこちらのページをご覧ください。

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https://mathematicalpapyrus.com/ブロック操作について
小学1年生の算数において、ブロック操作は欠かせません。このページではブロックについて考えていきたいと思います。なぜブロックを使うのか?低学年の算数では「まとまり」を意識することが非常に大切なことです。この「まとまり」は「5のまとまり」と「10のまとまり」を意識させればいいでしょう。(これは十進位取り記数法に関係しています。)例えば、8を半具体物で表すと下のようになります。数え棒では下のように瞬時に5のまとまりなのか6のまとまりなのかわかりにくいですね。6のまとまりを作ってしまった場合、数え棒では6こ...
「合併」
「合併」は、同時に存在する2つの数量(aとb)を合わせた大きさ(x)を求める場合です。問題文に「あわせていくつ」と書いてあることが多いです。
りんごはいくつありますか。
「増加」
「増加」は、初めからある数量(a)に数量(b)を追加したり、それから増えたときの大きさ(x)を求める場合です。問題文に「ふえると」や「くると」、「もらうと」と書いてあることが多いです。
りんごが3こあります。2こもらうとなんこになりますか。
加数(たす数)が右にあることから、ブロック操作の際には右からブロックを移動させる動きが適切だと思われます。
「順序を含む加法」
「順序数を含む加法」は、ある番号や順番(a)から、さらに何番か後ろの番号や順番(b)をもとに全体の数量(x)を求める場合です。問題文に「□番目」と書いてあることが多いです。
のぞみさんはまえから3ばんめです。のぞみさんのうしろには2人います。みんなでなん人ですか。

下の問題のように、「左から」や「右から」という問題はふさわしくありません。
のぞみさんはひだりから3ばんめです。のぞみさんのみぎには2にんいます。みんなでなんにんですか。
なぜならば、私たち(問題を解く人)から見た”右”と、のぞみさんから見た”右”が異なるからです。上の問題の場合、下のように3人としてしまう可能性があります。
もちろん、「左から3番目」も「のぞみさんから見て左から3番目」と解釈をすれば「みんなで5人」となりますが、子どもが混乱する可能性があります。自作問題を作る際には視点に注意しなければなりません。
「求大」
「求大」は、大小2つの数量(xとa,x>a)があって、その大きい方の数量と小さい方の数量のとの差(x-a=b)がわかっていて、
大きい方の数量(x)を
求める場合です。問題文に「~より□こおおい」と書いてあることが多いです。
のぞみさんはりんごを3こもっています。わたるくんのもっているりんごのかずはのぞみさんのもっているりんごのかずより2こおおいそうです。わたるくんのもっているりんごのかずはなんこですか。
「異種のものの数量を含む加法」
「異種のものの数量を含む加法」では、主に、2種類の単位(助数詞)が出てくるたし算だと考えてください。

子どもが2人いて、りんごを1つずつあげると、りんごが3こ余りました。りんごは最初いくつありましたか。
2人+3こ はできませんが、2人を2こと考えて、2こ+3こで考えましょう。
その他の加法
以上に挙げた3種類の他に
「 求大 」、「減少前推論」も加法が用いられる場面です。指導要領で触れていないため教科書で扱われていませんが、日常生活で必要になる考えなので、必要に応じて扱ってもいいと思います。
「減少前推論」
「減少前推論」は、はじめからある数量(x)に対して減った(少なくなった)数量(a)と減った後の数量(x-a=b)をもとに、最初にあった数量x(
減少の
前)を求める場合です。問題文に「はじめになんこありましたか。」と書いてあることが多いです。
りんごを2こたべると、のこりは3こでした。りんごははじめになんこあったでしょうか。
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「繰り上がりのある足し算」について考えます。ひき算の種類についてはこちら↓↓↓

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楽しくたし算を学ぼう
最後に、楽しくたし算を学べるツールを紹介します。
3歳からできるマッチングパズル
たし算の加数と被加数は絵で表されています。パズルになっているので数字が読めない幼い子でも楽しめます。
カエル天秤
天秤の左は数字、右はカエル。釣り合うように乗せる遊びです。数字と具体物を結びつける学習にも最適です。
10をつくるゲーム
たし算では、何と言っても「10のまとまり」がポイントになってきます。繰り上がりの学習にも不可欠な考えですから、必ず1年生の早期の段階で「10のまとまり」を意識させる必要があります。
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