問題:あなたは「究塾」という塾から、「塾生を集めるためのパンフレットに使うグラフを、作ってほしい」と頼まれました。
究塾の過去の合格者数は下の表のとおりです。
あなたなら、どのようなグラフを作りますか?下の補足資料を使っても構いませんが、データの改竄はしてはいけません。
この問題では、表をグラフにする際に、折れ線グラフが適しているとか、棒グラフが適しているとか、そういうことを問われているのではありません。
同じデータを使って、如何に見る人を欺くかが問われているのです。
もくじ
解法① 単純にグラフにする
塾内合格者数を、単純にグラフにすると、下のようになります。
このグラフを作った人は、不正解ではありませんが、もっと工夫がほしいですね。どのような工夫の仕方があるでしょうか。
解法② 割合で表す
合格者数は、そんなに増えていない究塾ですが、塾生数と合格者数の割合を表すと、下のように、
合格率は上がっているのです。これをグラフにすると、
このように、近年は、塾としての業績はアップしていることを示すことができます。
解法③ 都合の良いデータをピックアップする
上の表の赤丸のデータだけをピックアップし、折れ線グラフにしてみましょう。
合格者数が段々増えているように見えるグラフになりましたね。
グラフをよく見ると、横軸の年が2018年から2020年で2年間、2020年から2024年で4年間と一定ではありません。しかし、気が付く人はあまりいません。
解法④ 縦軸を途中から始める
解法③にさらに手を加えると、より合格者数が増えているように見えます。
縦軸の原点が、0ではなく60になっていますね。こうすることで、より坂が急になり、増加している様子を表すことができます。
解法⑤ B塾との比較
B塾は塾としての規模が小さいため、合格者数も少なくなります。グラフを見る方はそんな情報は持っていませんので、単純にグラフに表せば、究塾の方が優れているように感じられます。
単純にグラフの位置や数値だけを見る人は、B塾よりも究塾の方が優れていると感じるでしょう。
解法⑥ A塾との比較
大手A塾は、塾生数が多いので、単純にグラフにしたのでは、勝ち目はありません。そこで、
上のグラフのように、縦軸が2本あるグラフにしてみるとどうでしょうか。そもそもの塾生数が違うのに、究塾の方が、合格者数が多くいるような気すらしますね。
解法⑦ 立体的なグラフにする
最後は、視覚的にグラフを操作してみましょう。
奥にあるものは小さく、手前にあるものは大きく見えるという法則をうまくつかうことで、段々と合格者数が増えているように感じられますね。
様々な工夫あるグラフを紹介しました。どのグラフもじっくり見れば、トリックに気が付きそうです。しかし、視覚的感覚的に見てしまうと欺かれてしまいます。
今回紹介したグラフは、どれも実際に新聞やテレビのニュースで使われた手法です。児童に「こんなグラフがあるよ。」と紹介するだけでも、より学習が深まり、グラフに対する見方・考え方が変わってくるでしょう。
下のページでは、今回紹介した授業の発展型について紹介します。
児童をA塾、B塾、C塾に分けて、自分の担当する塾にとって都合の良いグラフを作るというものです。ぜひ、ご覧ください。

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